叙勲受章のご挨拶

若い頃、親方はじめ諸先輩の方々から伝統技能の手解きを頂き、今の自分がある事に感謝しつつ、職人の手から職人の手へ脈々と受け継がれて来た技能を後継者育成の一助になれたらと思い、仕事のかたわら、宇都宮共同高等産業技術学校で指導講師を続けてきました。いつの間にか３２年程が過ぎ、平成２６年春の叙勲に際し、図らずも瑞宝単光章の栄に浴しました。同５月１６日に皇居宮殿に於いて天皇陛下に拝謁を賜り、誠に感激の極みでございました。

これもひとえに皆々様の多年にわたるご懇情ご支援の賜とありがたく心より感謝申し上げます。今後は、この栄誉に恥じる事のない様、一層の精進を重ねる所存でございます。

注文住宅一筋に歩んで５０数余年。木造在来軸組工法で建てた家は、強固な軸組を基本とするので、地震にも強く、又自然素材で作られた住宅は人にも環境にも優しい事は広く知られているところです。自然の木材は他の材料と比べ抜群に親しみと安らぎを与えてくれる。数十年、数百年も自然に育った木の中身を素材として使うなど、なんとすばらしく贅沢な話であろうと思います。造作材等も同じ杢目模様は２つと無い無垢の素材からは、正に美を感じます。

これらの材料に負けない責任ある仕事をしなければならないと常々思っております。